耳コピのやり方:初心者がコード進行を聞き取る手順
弾きたい曲の譜面が見つからない。見つかったけれど、どうも原曲と響きが違う——。そんなとき、自分でコードを聞き取る(耳コピする)ことができると、弾ける曲の幅が一気に広がります。
「耳コピは絶対音感がある人のもの」と思われがちですが、そんなことはありません。手順と、ちょっとした音楽の知識があれば、コード進行の耳コピは誰でもできるようになります。
耳コピの全体の流れ
- キー(曲の中心の音)を見つける
- そのキーでよく使うコードを用意する
- ベースの音を手がかりに、コードを当てはめていく
- メジャー/マイナーなど、細かいところを確かめる
- 譜面に書き起こす
ひとつずつ見ていきます。
用意するもの
- ギター(チューニングを合わせておく)
- 曲の音源
- 再生速度を落とせる・区間をくり返せるプレーヤー(YouTube の再生速度変更や、耳コピ用のアプリ)
ボーカルや楽器を分離できるアプリを使うと、ベースが聞き取りやすくなって、さらに楽になります。アプリの比較は「耳コピ・コード検出アプリ比較」にまとめています。
ステップ1:キーを見つける
キーは、曲の「落ち着く音」です。次の方法で見つけます。
方法A:曲の最後の音を探す
多くの曲は、キーの音(またはキーのコード)で終わります。曲の最後に鳴っている音を、ギターの6弦や5弦で探してみましょう。「この音を弾くと曲にぴったり合う」という音が見つかれば、それがキーの候補です。
方法B:何度も出てくる「帰ってくる」コードを探す
サビの終わりなど、「ここで一区切り」と感じる場所で鳴っているコードが、キーのコードであることが多いです。
メジャーかマイナーか
キーの音が見つかったら、その音のメジャーコードとマイナーコードの両方を弾いて、曲に合わせてみます。明るく合うならメジャーキー、暗く合うならマイナーキーです。
ステップ2:キーごとによく使うコードを知る
キーが決まると、その曲でよく使われるコードは、ほぼ7つに絞れます。これをダイアトニックコードといいます。
| キー | Ⅰ | Ⅱm | Ⅲm | Ⅳ | Ⅴ | Ⅵm | Ⅶm(♭5) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| C | C | Dm | Em | F | G | Am | Bm(♭5) |
| G | G | Am | Bm | C | D | Em | F#m(♭5) |
| D | D | Em | F#m | G | A | Bm | C#m(♭5) |
| A | A | Bm | C#m | D | E | F#m | G#m(♭5) |
| E | E | F#m | G#m | A | B | C#m | D#m(♭5) |
| F | F | Gm | Am | B♭ | C | Dm | Em(♭5) |
なかでも、Ⅰ・Ⅳ・Ⅴ・Ⅵm の4つはとてもよく使われます。キー C なら C・F・G・Am です。まずはこの4つから当てはめていくと、多くの部分が埋まります。
マイナーキーの曲は、同じ並びの Ⅵm がキーのコードになります。たとえばキー Am の曲は、キー C と同じ7つのコードを使います(Am が中心になる)。
ステップ3:ベースの音を手がかりにする
コードを当てるときの最大のヒントは、ベースの音です。ほとんどのコードは、ベースがコードのルート(コード名のアルファベット)を弾いています。
- 曲を少しずつ再生し、ベースの音をギターの6弦・5弦で探す
- ベースが「ラ」なら A か Am、「ファ」なら F……と、ダイアトニックコードの中から候補を選ぶ
- 候補のコードをジャーンと弾いて、曲に合うか確かめる
ベースが変わるタイミングが、だいたいコードが変わるタイミングです。1小節ごと、2拍ごとなど、どのくらいの間隔で変わるかにも注目しましょう。
ステップ4:細かいところを確かめる
おおまかなコードが当てはまったら、合わない部分を確かめていきます。
メジャーとマイナー
ダイアトニックコードにないコードが出てくることもあります。表ではマイナーのはずなのに、どうも明るい……というときは、メジャーに変えて弾いてみましょう(例:キー C で E が出てくるのはよくあるパターンです)。
分数コード(オンコード)
ベースの音がコード名と違うときは、分数コードかもしれません。たとえばベースが「ミ」なのに C が合うなら C/E です。ベースがなめらかに下がっていく場所でよく出てきます。
7th などの飾り
「合っているけれど、なんだか物足りない」ときは、7・M7・sus4・add9 などを試してみましょう。ただし、弾き語りでは基本のコードで十分なことも多いです。まずは骨組みを完成させることを優先しましょう。
転調
途中で急にコードが合わなくなったら、転調しているかもしれません。サビやラストで半音・全音上がるのはよくあるパターンです。そこからはステップ1に戻って、新しいキーを探します。
ステップ5:譜面に書き起こす
聞き取ったコードは、歌詞のどの文字で変わるかがわかるように書いておきます。テキストで書くなら、歌詞の中に [C] のようにコードを入れる書き方が便利です。
[C]うさぎ おいし [G]かのやま
コードを何拍伸ばすかまで書いておくと、他の人が見てもリズムがわかる譜面になります。譜面の見方は「コード譜の読み方入門」で解説しています。
上達のコツ
- 最初は簡単な曲から:コードが4つくらいしか出てこない曲で練習する
- 答え合わせをする:譜面がある曲で耳コピして、あとで見比べる
- 完璧を目指さない:まずは「弾き語りで気持ちよく歌える」ところまでで十分
- よく出る進行を覚える:王道進行やカノン進行などを知っていると、聞いた瞬間にわかるようになる(「定番のコード進行まとめ」)
耳コピした譜面を、残る場所に
耳コピした譜面は、自分だけで使うのはもったいないものです。LimeNote では、耳コピした譜面を作ってくれる人を募集しています。作った人の名前はすべての譜面に表示され、ブラウザで使えるエディタで [C] の形式のまま書けます。
市販の曲の譜面を公開するときの著作権の考え方は、「耳コピしたコード譜はどこで公開する?」にまとめています。
まとめ
- 耳コピは キー → よく使うコード → ベース → 細かいところ → 書き起こし の順で進める
- キーが決まれば、コードの候補はダイアトニックコードの7つにほぼ絞れる
- ベースの音がコードを当てる最大の手がかり
- 最初は完璧を目指さず、骨組みのコードを完成させる